ちっ……クール系と見せかけて実は天然……手強い……

発売から一週間も経ってしまいましたが、ようやく『天空のアルカミレス』を読みましたのですよ。『シャドウテイカー』の三上延氏と純珪一氏のコンビによるホラーアクション。というよりは怪奇アクションって感じ。ニュアンスの違いを解れ!


天空のアルカミレス (電撃文庫)

天空のアルカミレス (電撃文庫)

わたしは“方舟の闘士”。“獣”を狩るもの――。
兄妹同然に育った礼菜とともに東堂学園に通う平凡な高校生・拓也。転校生・日向子に心惹かれた時から、人を狩る獣“テリオン”とそれを討伐する闘士“アルカミレス”の戦いに巻き込まれていく……。闇の眷属――テリオンとの攻防を描く、アクション・ホラーシリーズ!!



……という感じなんですが、読んでみたところ「平成ライダーシリアス分増量+三上風味」みたいな? 人類の敵対者“テリオン”というのが、ライダーで言うところのグロンギとかアンノウンとかアンデッドとかワームみたいなものが高度な知性を持って徒党を組んで人類に宣戦布告をしているという設定なんですわ。
ヒロインの久慈日向子は“テリオン”と戦っている人でして、ToHeart風の制服の上に純珪一氏のセンスが光るナイスデザインな鎧を纏ってアクションしてくれちゃうわけですよ。キャラクター的に『シャドウテイカー』の西尾みちるに通じるところがありまして、みちる好きだった人には割と受け入れて頂けるのではないかと。
主人公もいつもの三上作品らしく、「あきらめない」「意外にも切れ者」な面を見せてくれまして、今後の活躍に期待がもてます。
三上先生は執筆も早いし、続きが楽しみでございますのですよ。

↓ここからネタバレ




さて主人公の篠宮拓也、三上作品初の自ら特殊能力を振るって戦うタイプですね。過去の作品および中盤までの展開により、今回もヒロインが前線に立って主人公はそのサポートというポジションかと思っていましたんで、驚かされました。剣を掴んで初変身するシーンはゾクゾク来ました。めちゃめちゃ高揚しましたのですよ。


ヒロインの久慈日向子……弱いw! 戦闘者としては主人公の先輩になるものの、なんというかG3氷川誠、ナイト秋山蓮、ギャレン橘朔也的な弱さだw
アルカが壊滅してからほとんど一人で戦ってきたためリサーチフェイズ用の特技を取るためにCPとかスキル枠使っちゃって、戦闘用特技を取りきれなかった器用貧乏的キャラの匂いがしますw
みちると通じるところというのは個人的な感想なんですが、8年前に拓也に連れ出されたのが礼菜ではなく自分だったら、彼は同じように自分を助けるために一生懸命になってくれただろうか、なんてことを考えてしまうあたり。みちるも最終巻でもしも自分も裕生のノートを読んでいたら、裕生と葉が立っている側にいられただろうか、なんてことを考えていたじゃないですか。


もう一人のヒロイン篠宮礼菜、妹同然に育った幼馴染みっつーことで葉っぽいキャラを想像していたんですが、全然違ってましたわ。拓也と日向子が親しいところをみるととたんにむくれてしまうあたりが可愛い。
日向子とは逆、というか同じか? 「自分じゃなかった」という苦悩が痛々しくも魅力的です。


拓也と礼菜の友人の東堂友典、岡内やタヌキ佐貫に通じる、あてになる友人といったポジションのキャラだったんですが、いきなり試練に見舞われてますな。再登場には少々時間が要りそうな感じです。


今回のメイン敵キャラのオフリス・ペインキラー、流暢な喋り口調と、イラストが少なかったためかもう一つ人間じゃない何かっぽい雰囲気が不足気味だったような。それでもまぁ、初回の斬られ役としてはなかなかのゲスっぷりでした。


最強のテリオンにして礼菜の兄であるルスラン・ヴォルク、私の頭の中で台詞が勝手に石田彰の声で再生されますw


なんと言っても拓也が黄金剣を抜いて剣の問いに答え、名乗りを上げて変身するシーンが最高に格好良い。燃え燃え。またしても信者ポイント大幅UPでございますのですよ。