祝福する

電撃文庫の2月の新刊『ぼくと魔女式アポカリプス』を読みましたのですよ。
作者の方の前作シリーズを一応最終巻まで読んでおりまして、藤原々々氏がイラストを描いているということでせっかくだからと手を出してみたところ予想を大幅に上回って面白く、嬉しい誤算といったところです。

ストーリーは「普通」に埋もれることにささやかな抵抗を試みるへそ曲がりな少年が、ふとしたことから垣間見た、絶滅した幻想種たちの復活をかけた潰し合いに巻き込まれ、後戻りできない戦いの果てにある重大な決断を迫られるっつー感じです。ヒネクレ少年の一人称で綴られているところがやや人を選ぶかも? 最初は真剣さが足りない感じですが、真ん中過ぎからいろいろと悩んだり迷ったり、味が出て参りますのでその辺は大目に見ていただきたく。つーかイタさ青さも計算ずくか?
序盤から中盤にかけては藤原々々氏の手になる可愛らしく微エロいイラストにふさわしく「それなんてエロゲ?」みたいな感じなのですが終盤に入ると一転、どす黒い泥濘の中を傷だらけの血まみれになって這いずり足掻くようなシビアな展開に。主人公らの痛ましい状況に、「普通じゃなくなれてヨカッタネ」なんて下らない皮肉は軽く吹っ飛ばされますわ。
結界師のフーガ』のオレ的評価は「悪くはないが、いろいろ微妙」といったところでして*1、やや空回っている印象でしたが今回は歯車がガッチリ噛み合った感じで、上手くなったなぁこの人と感心させられました。
数日かけて電車の中で読んだのですが正直失敗だった。誰もいない自室で一気読みしておくべきだった。そうすれば遠慮無く呻き声を上げたりできたのに。危うく電車の中で「ミルズに必殺の台詞*2をぶちかまされたときのレイニー君泣き」するところでしたよ。

ところでラスボスが誰かって、オレ最後まで分かりませんでした。ミスリードに引っかかりまくり。ラスボスの下衆っぷりにもマジむかつちゃったりして、なんか作者に乗せられまくりだな、オレ。お釈迦様の掌で踊らされる孫悟空でもこうまで踊りませんだろうってくらい。とほほ。

ともあれ読み終わった後、なんともヘビィな、それでいて悪くない気持ちになれましたわ。オレをこんな気分にさせた責任を取って、なんとかシリーズを継続し納得いく形で完結させて欲しいです。頼むよ、作者の人と編集の人! 打ち切ったら許さん。収拾がつかなくなって逃げても許さん。後でつまらなくなったらさらに許さん。


ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)

ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)



↑こんな魔女ッ子が自分の指を包丁で切り飛ばしたり、目に砂を突っ込んだりするんですよ。どうです、ハァハァきません?
いやまぁ、それ以外にも、女性キャラは皆魅力的ですよ。アヴェイラーズは……阿婆擦れっぷりが素敵です(えー

*1:ぶっちゃけ倫太郎きゅんが可愛いからっつー理由だけで読んでいたような希ガス

*2:「貴様は俺の――」ってやつ