オレ May Cry(オレも泣き出す)

神ゲームだからやってみろ。絶対泣く」と知人に推薦されて、『大神』をプレイしてみましたのですよ。絵巻物を思わせる美麗なグラフィックが目を引く大自然冒険活劇(ネイチャーアドベンチャー)ゲームでございます。


大神(OKAMI)

大神(OKAMI)

このゲームではしばしば「何かを再生させる」「失われたものを取り戻す」という要素が提示されるのですが、その感覚がとても素晴しい。代表的なところでは各地の「塞の芽」に花を咲かせて大地の力を取り戻すというイベント。花を咲かせた瞬間、爆発的な勢いで草木が芽吹き、洪水のように広がって、大地を覆い尽くしていた瘴気を払拭するという演出で、非常に感動的であります。思わず「フォオオオオーッ!」とため息が漏れますわ。
他にも、困っている人の悩みを聞きだしてそれとなく解決に手を貸したり、枯れ木に花を咲かせて集まってきた動物たちに餌を与えたりといったことでゲーム的なリソースが得られるのです。ハックアンドスラッシュとは一味違った、コンストラクティヴな感覚が実に心地よいのです。


インターフェースは3Dアクションですが難易度は易しめ。アクションが壊滅的な私の腕でもクリアーできました。どちらかというとゼルダの伝説などに近い感触? 独自性の高いシステム「筆しらべ」(画面に筆を走らせ、図形を描くことで様々なエフェクトを発揮する能力。)を駆使して進むべき道を切り拓いていくのが面白い。もちろんアクションが得意な方はスタイリッシュにハードアクションするスーパーウルトラセクシーヒーローなプレイも可能です。


プレイヤーキャラクターは白い狼アマテラスを操作してゲームを進めるわけですが何しろ犬ですので人間との会話が成立しませんw しかしそこは心配無用、ベルセルクのパックを髣髴とさせる小さな旅絵師イッスンがパートナーとなって、プレイヤーの心情を見事に代弁した的確なツッコミを入れてくるのです。このイッスンが実に良い奴で、彼が何か言うたびに心が和まされます。


イッスンをはじめとした数多くのNPCと、彼らに纏わる物語がまた素晴しい。途中のイベントでもしばしば目頭が熱くなることがあるのですが、クライマックスではもう大号泣ですわ。涙をボタボタ垂らしながらラスボスと戦いましたよ。悲しくて泣くんじゃないのがポイント。良かった泣きなんですよ。それが凄い。


壁を背にしたときのカメラワークがやや見難い、ストーリーの一部が若干説明不足といった弱点もありましたが、総じて素晴しい完成度の作品でした。多くの人に体験して欲しいゲームであります。