元魔王ラジャスの大逆襲

id:anijyaさんとこの記事を読んで以来、「なんだこのバーニング&ロマンティックなシチュエーションは!?」と気になってしょうがなかった『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』を読んでみましたのですよ。


抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)

抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)

持って生まれた特殊能力故に人間社会で疎まれた少女が勇者にまつりあげられて単身魔王に挑戦、彼の魔力を奪い取りこれを追放。新たに魔王の座に就いた少女は魔族を統べ、自分を排斥した人間社会に攻め込み、史上初の人間・魔族の双方を統べる皇帝となってしまう。一方、魔力を失い、部下の機転により不本意ながら辛くも脱出した元魔王は、皇帝への復讐を期し力を蓄えるのだった。だが、誰が知ろう、皇帝となった少女の胸に元魔王への、ある特別な感情が秘められていたことを――ってな感じですわ。皇帝暗殺の陰謀を巡り、人間・魔族、親皇帝・反皇帝の各人の思惑と謀略が交錯する至極ハードなストーリーとなっております。
もとより不倶戴天の敵ながら互いの力を認め合う二人が時にガチバトル、時に相手の背後にいる別の敵を敢えて討つ、でもやっぱり貴様を倒すのはこの私だ勘違いするなみたいな関係にハァハァくる私ですが、そこに男女間の微妙な感情の機微という要素が加わった日にゃ、もう心の琴線がギュインギュインハウリングしまくりでございますのですよ。


文章の方は序盤はちょっと格好つけすぎじゃないのこれと思わなくもなかったのですが、ストーリーが盛り上がってくるにつれ気にならなくなるというかむしろ外連味溢れる文体が嵌っていて気持ちよくなってきてしまいました。
キャラもどいつもこいつも全力勝負で、小物っぽいのがいつつも負け犬は一人もいない。そんな中で特筆すべきはやはり元魔王のラジャス様。なんかヒロインよりもヒロインっぽいっつーか、やけに可愛いんですがこの人。